【感想レビュー】自身の選択に責任を「君と彼女と彼女の恋」
ニトロプラス『君と彼女と彼女の恋。』をクリアしました。
比較的ボリュームの少ないゲームというのもありますが、あまりに惹きつけられるシナリオでGW5連休の内にクリアしてしまいました。
★以下物語の根幹に関わるネタバレがあります!★
このゲーム「ととの。」は、なるべくネタバレを踏まない方が魅力を知れるゲームです。クリア前にこの記事を読むのは非推奨です。
目次
◆愛のために世界を元に戻す女「向日アオイ」
◆愛のために世界を改変する女「曽根みゆき」
◆セーブデータを超えて残されるプレイヤーの感情
◆まとめ
◆愛のために世界を元に戻す女「向日アオイ」
向日アオイは、「美少女ゲームのヒロインのイデア」だそうです。
そんな彼女に「愛」を教えてしまったことにより、世界改変へと話が進んでしまいます。
不器用だけども一生懸命で、とにかくいじらしい姿が印象的です。
そんな彼女がセックスをするために生み出され、数々の男とセックスしてきたというのは主人公でなくともショックでしょう。
他の男とセックスしないと生きていけないアオイを、それでも愛する主人公の姿は、後の「後悔しない選択」を思い起こさせます。
狂気を増していくしかなかった美雪と比べ、「デンパ女」だったアオイは感情を知ったことで普通の女の子に変わっていきます。
最初は全然違うところにいた二人ですが、友達になったことを皮切りに近づいていき、最終的に同じ地点に立てたのかもしれません。
迫力のある体をしていて行動的な美雪と比べ、アオイはかよわさや小柄さが強調されるのも対照的ですね。
◆愛のために世界を改変する女「曽根美雪」
本作を有名にしている彼女です。
まあ鉄の女ですよ。
(別ルートの)自身との約束を破った主人公と、アオイを追い詰める姿は大変徹底されていて恐ろしいです。
後で本人からも聞けますが、そのアオイと主人公破局計画への余念のなさが半端ない。
アオイの世界アップデートにより「主人公のことが好き」だった存在から「主人公とでないと幸せになれない」という存在へ変えられた美雪。
彼女の必死の行動は、見る人によって印象が変わるでしょう。
(私は怖いと思っています)
主人公と幸せに暮らすために、主人公を監禁し、薬漬けにし、ゲームシステムまで書き換えてしまう。
ゲーム起動画面やメニュー画面で話しかけてきたり、バックログを読んで主人公の行動を予見するなど、恐ろしい能力持ちです。
それもこれも、プレイヤーが彼女を不安にさせているのが原因なのですが…
まあ主人公に中出しされた回数を覚えていたり、アオイの机の上で主人公にセックスをせがむなど、おそらく元からものすごい女だったことは察せます。
美雪との生活ループから抜けるには、彼女の好感度を上げる方法と下げる方法があります。美雪の不安な心の内が見られるので、美雪派の人は是非下げる方法で入れる分岐も見てみてください。
◆最後の選択
最終的に、私はアオイを選びました。
美雪の必死さも理解できたのですが、やっぱりちょっと怖くて…自分のせいなんですけどね。
アオイのいじらしさと、美雪が見せてくれたアオイIFルートの穏やかさに心惹かれました。
少々理不尽なゲームだと思われるかもしれませんが、美雪を貶め、アオイを苦しめたのは、確実に「プレイヤーの選んだ選択肢」です。
アオイと美雪、どちらを攻略しても、選ばれなかった方への裏切りになります。三人とも別ルートの記憶があるからです。
こじれにこじれた三角関係は、もはやプレイヤーの選択によってしかほどくことはできなくなっていたのです。
それが最後の選択の意味でしょう。
どちらかを永遠に愛し、どちらかがゲームから去らないと、またいつか同じことになるからです。
◆セーブデータを超えて残されるプレイヤーの感情
「ととの。」以外にも、ゲームのシステムに介入してくるゲームがいくつか出てきたように感じます。いずれのゲームも「自身の選択に責任を持つ」というメッセージが含まれています。
(ネタバレになりますが「アン〇ーテール」とか「ドキドキ文〇部」とか)
「たかがゲーム」と思われるかもしれませんが、彼女たちの想いに心揺さぶられるプレイヤーの感情は、確実にそこにある本物だと考えさせられました。
彼女たちに恥じない自分でありたいものです。
後悔のない選択を。